CIVILIZATION VII

『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』開発者日記#6:外交、影響力、交易

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シヴファンの皆さん、おかえりなさい! いよいよ数週間後に『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の発売を控え、スタジオは期待感でいっぱいです。そこで満を持して重要なトピックである外交、影響力、交易についての新しい開発者日記をお届けしましょう。ゲームデザイナーのビル・アンダーソンが、これらのご要望の多かったトピックについて解説します。いつものように、コメントやご質問がありましたら、SNSチャンネルまでお寄せください。

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こんにちは、ビル・アンダーソンです。私は『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』で開発に参加したゲームデザイナーですが、物心ついたときから「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」シリーズなど多くの4Xゲームやボードゲームをプレイしてきました。本日は『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の外交と交易への変更点と、新システムの狙いについてお話しできることを嬉しく思います。

外交と交易は、交易路の構築、他文明との関係の管理、資源の交換、宣戦布告など、長年にわたって「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」シリーズの核心を成すものでした。両システムはしばしば相互に関連していましたが、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』では、ゲームプレイを良い意味で揺るがすような要素の追加や調整を行っています。では、その内容を見てみましょう。 

外交

「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」では、外交の主な目的は、他の国家と直接交流する方法を提供し、自分の戦略に合った形で彼らとの関係を形成するところにあります。同盟の宣言から国境開放まで幅広い交流の可能性があり、すべて有名な世界の指導者との交渉を通じて行われます。 

「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」の過去作をプレイした方には、取引という形での外交が最も馴染み深いはずです。ゴールド、資源、協定、傑作など、好きなものを組み合わせて提案できます。これに対してAIや他のプレイヤーが承諾、拒否、再交渉で反応します。提案を承諾、拒否、修正するやり取りは値切りと似ていたため、社内ではこのシステムを「物々交換のテーブル」に例えました。

『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』では、外交をより高め、細かいことよりも壮大なスケールで決断を下せるようにしたいと考えました。もし、馬との交換に見合ったゴールドの額を計算するのではなく、他の指導者との交易関係を強化し、物々交換は商人たちに任せたらどうだろうか。指導者が時代を超えて存在するシステムの中、どうすればその関係から永続的な効果を得ることができるか。外国からの攻撃に対抗し、紛争中に他の指導者の決断に影響を与えるためのツールはどう提供すればよいか。 

こうした問いと、外交を過去作以上に重要な位置に据えるという中心的な目標から、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』では「影響力」という新要素を導入することになりました。 

影響力

影響力は『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の新要素であり、外交システムにおける通貨のようなものです。ゴールドと同様に、ターンごとに影響力が蓄積します。ゲーム全体で、影響力は外交に関する様々なことに対して消費されます。影響力を必要とする国家間の外交行動には、主に4つの種類があります。

  • 外交努力:2つの国家間で相互に利益をもたらします。例えば、「共同研究」を要請すると、ターンごとに両プレイヤーに科学力を与えることができます。
  • 制裁:他国家に対するネガティブな行動です。「軍事生産妨害」を選択した場合、相手プレイヤーの軍事的生産力を減少させ、関係にペナルティが発生します。
  • 条約:「国境開放」や「交易関係の改善」の条約など、長期的利益のある決定です。
  • スパイ活動:ハイリスク・ハイリターンの行動で、自国家にボーナスをもたらし、他国家に悪影響を与えますが、自国の行動が見つかるリスクを伴います。スパイ活動が発覚すると、相手との関係が損なわれ、一時的に獲得できる影響力が減少します。たとえば「技術を盗む」がこの活動に該当します。

それぞれの外交行動を始めるには一定の影響力が必要であり、自分が他の指導者に対して開始することもあれば、その逆もあります。行動を起こすと、スパイ行為以外では、相手プレイヤーには反応の機会が与えられます。反応には3種類があります。

  • 支持:行動を支持して、成功させて相互に利益をもたらします。行動を支持するには、一定量の影響力を消費します。
  • 承諾:行動を承諾すると、成功させてその行動を始めた指導者がより多くの利益を受けることを認めます。行動の支持に影響力の消費はありません。
  • 拒否:行動を拒否すると、その行動を阻止しますが、拒否する行動に応じて影響力を消費します。行動を開始した指導者は、その行動の開始に消費した影響力が返還されます。

影響力は、独立勢力との交流にも使用します。マップ上のこれらの勢力と友好関係を築けば、長期的に関係が向上していき、最終的には自分が宗主国となる都市国家へと変化します。ただし、他の指導者も同様に影響力を消費して接近でき、先に宗主国になられると強力なボーナスを逃してしまいます。 

独立勢力が都市国家になると、外交の選択肢がさらに増えます。影響力を使用して、国境線の拡張を促進し、軍事力を増強でき、近隣国に圧力をかけることができるかもしれません。国からユニットを徴収すれば永久に自分のものにでき、自国に取り込んで居住地にすることもできます。さらに攻めたプレイをしたい方は、独立勢力を煽動して他国を襲撃させることもできます。

Dev Diary 6 - Independent Powers

影響力の獲得は、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の他の産出物の仕組みとよく似ています。影響力は、建造物、社会政策、属性、指導者、文明の能力、遺産などから発生します。ストーリーイベントには、ボーナスの結果として影響力が含まれるものがあり、特定の行動によって影響力がもたらされることがあります。他のプレイヤーの首都近くに居住地を置くなどしてこうしたイベントを発生させると、関係ペナルティが発生したり、相手があなたに対して消費する余剰の影響力を獲得したりする可能性があります。 

また、影響力を低下させる要因もあります。居住地を征服あるいは攻撃するなど、世界の舞台でネガティブな行動を取れば、ターンごとに獲得できる影響力が減ることがあり、戦略に深みが増します。

関係、アジェンダ、戦争

外交のもう一つの重要な要素は関係で、時代の中で指導者たちがお互いに対して持つ好感や反感を目に見える形で示します。関係には、有益、友好的、中立、非友好的、敵対的という様々な段階があります。他の指導者との関係の段階によって、その指導者に対して実行できる外交行動の種類など、様々なことが左右されます。例えば、軍事同盟は有益な関係にある2人の指導者の間でのみ成立します。 

指導者のアジェンダが関係と結び付いています。『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VI』同様、アジェンダは指導者の具体的な好き嫌いを表しており、プレイヤーは優位に立つために取るべき行動の種類を理解することができます。例えば、テカムセ*のアジェンダ「世界の盟主」では、独立勢力を粉砕すると関係が大きく悪化し、独立勢力と積極的に友好関係を築いていないと、関係がやや改善します。 

Dev Diary 6 - First Meet

*テカムセは『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』デラックス エディションおよび創始者エディションに収録されている「テカムセ&ショーニー パック」に含まれているほか、2025年2月11日(火)まで通常版の予約コンテンツとして提供され、その後は別途購入できるようになります(正確な配信日は後日発表)。利用規約が適用されます。

様々な行動によって他の指導者との関係を変えることができます。外交努力や制裁で関係が大きく前進・後退するほか、他国の領土に接近して居住地を置く、交易路を作るといった外交的な出来事も影響します。他の指導者のアジェンダに賛成や反対して行動することも関係に影響を与えると予測できます。

そこで戦争です。『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』では、新たに「戦争への支持」というシステムを採用しました。戦争への支持が少ないと「戦争による疲労」に陥り、そのプレイヤーの全ての居住地に幸福度のペナルティが発生し、交戦に対する戦闘ペナルティを受けます。 

正規戦争の布告は、相手指導者と敵対的な関係にある場合にのみ可能で、有利不利はありません。ただし、敵対関係にないときに奇襲戦争を選ぶと、相手側の戦争への支持が増え、自分にはペナルティが課されます。戦争による疲労の中での戦いは非常に困難ですが、十分な影響力があれば、戦争への支持を獲得して戦況を覆すこともできるでしょう。また、影響力を消費して戦争への支持を加えることもできます。

Dev Diary 6 - War Support

交易

「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」では、交易は基本的に資源(マップ上で強力なボーナスを持つ有限の資源)の交換と、国家にターンごとの産出量バフを与える交易路の確立を中心に進化してきました。外交から取引を廃止し、大きな決断を下すことに集中してもらうという今作の方針に従い、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』では交易の仕組みにいくつかの重要な変更を行うことにしました。

まず、『シドマイヤーズ シヴィライゼーションVII』では資源の獲得が合理化されました。資源を得る方法は3つあります。

  • 成長イベント:人口の増加によって居住地が拡大すると、資源のあるタイルを選択することで、その資源を獲得する施設が自動的に建設されます。
  • 交易路:商人ユニットを近くの集落に派遣すると、交易路が建設され、そこで生産される各資源を手に入れることができます。
  • 都市国家:各時代の一部の都市国家には、その宗主国になることでのみ入手可能な固有の資源があります。

つまり、特定の資源を獲得したいなら、マップ上で探すだけです。そこから居住地を発展させて獲得するか、商人を派遣して交易路を確立しましょう。

Dev Diary 6 - Egypt Resources

『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の資源は、3つのカテゴリに分かれています。 

  • 帝国資源:マップ上のどこでも役に立つボーナス。これらの多くは、「シドマイヤーズ シヴィライゼーション」過去作に登場した「鉄」のようなお馴染みの戦略的資源です。
  • 都市資源:特定の都市(「町」ではありません)の産出量と能力を特化させるためのボーナス。都市資源では、特に科学力、文化力、ゴールドの産出に優れた都市を作れるようになります。
  • ボーナス資源:町を含め、あらゆる居住地に動かせる一律の産出量バフ。幸福度が低下している居住地を盛り上げたり、成長を加速させたりするのに役立ちます。

上述のように、都市や居住地には特定の種類の資源を割り当てることができます。各居住地には、その重要性に応じて資源を保持するためのスロット数が設定されています。首都は最も多くのスロットを持ち、都市に複数あり、町には1つだけです。様々な要因によってスロットの数を増やすことができます。特定の建造物は、その居住地に建設された場合に資源最大数を増加させます。ラクダも都市の最大数を増加させる資源です。こちらの短い動画で資源の使い方をご覧ください。 

特に交易路では、これらは非常に重要であり、居住地上限に達したときをはじめ、資源を増やすための主要な手段となるでしょう。交易路を作るには、商人ユニットを解除し(通常はサポートとなる社会制度を研究することで)、商人を居住地に派遣します。基本的に、陸路か海路のどちらかを選択できます。陸路は最大距離が短いものの、外国の居住区と自国の交易網に最も近い居住区の間に道を作ります。海路は陸路の2倍の距離に延ばせます。 

自国との交易路を開くために他国から商人が派遣されると、あなたは自動的にその居住地で資源を共有し、逆にゴールドで利益を得ます。提供する資源が多いほど増え、海路なら2倍になります。古代と探検時代には、商人は居住地に直接行って交易路を開く必要がありますが、現代では、マップ上のどこからでも可能になります。交易路が確立されると、隊商または交易船が作成されます。このユニットは継続的に生成されるため、一度確立された交易路は再度開く必要はありません。ただし、敵軍に略奪されることもあるので気をつけてください。

経済レガシーパス

開発者日記#1で紹介したレガシーパスは、『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の新機能で、時代ごとに達成すべき目標のようなものです。『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の各時代には固有の経済レガシーパスがあり、戦略を練って経済を進化させることで達成させます。これらのパスの一部として、「財宝資源」と「工場資源」という2種類の資源がさらに登場します。財宝資源は探検時代固有のもので、「遠隔地」固有の資源を表しています。工場資源は現代固有で、工場で加工することで国家全体に強力な効果をもたらします。

それぞれの経済レガシーパスの仕組みの概要はこちらです。 

  • シルクロード(古代):居住地のスロットに十分な資源を組み込むことでこのパスを達成します。そのためには、それらの資源へのアクセスと、それをサポートする十分なスロット数の両方が必要です。
  • 財宝船団(探検時代):「遠隔地」にのみ存在する特別な財宝資源を獲得します。「造船」を研究した後、これらの居住地から財宝船団を獲得します。これを本土に呼び寄せることでこのパスを達成します。
  • 鉄道王(現代):鉄道と港のネットワークで居住地と首都を結びましょう。これらの居住地は工場を追加でき、各工場居住地は工場資源を1つ加工できます。これによって、国家全体に及ぶ固有のボーナスが提供され、このレガシーパスを達成することができます。

最後に

『シドマイヤーズ シヴィライゼーション VII』の発売を間近に控え、皆さんがシングルプレイヤーでAIと対戦したり、マルチプレイヤーで他のプレイヤーと対決したりする中で、多くの友情や裏切り、同盟を展開していくところを見るのが待ちきれません。そして、これはほんの始まりに過ぎないのです。これらのシステムは進化を想定しており、今後も拡張や改良の可能性を開いていきます。 

それでは、シヴファンの皆さん、ゲームを存分にお楽しみください!